2009年08月31日
文法とは何か? ~後半
◆◆「目からウロコの英語勉強法」◆◆
「文法とは何か ~前半」の続きです。
では、我々が英語の文法を学習する場合にも
同じ要領で覚えればいいのでしょうか?
本家本元のアメリカ人が、「口」で、「使って」文法を覚えたのならば
何も難しい文法の勉強など、する必要はありません。
われわれも同じように、「口」で、「使って」覚えればいいのではないでしょうか?
しかし、これはそれほど単純な問題ではありません。
アメリカに生まれて、母国語として英語を学ぶならばそれでいいのですが
日本に生まれて、外国語として英語を学ぶ場合には
やはり最初に、基本的な文法の知識を学ばなければならないのです。
どんな天才も、外国語を学ぶ場合にはその手順を省くことは出来ません。
とは言うものの、文法用語や公式・構文にとらわれすぎるのも、問題です。
文法を「公式」として覚え、そこに必要な単語を代入していくというやり方は
一見、合理的であるように見えますが、じつは現実的ではありません。
その方法では成功しないから
これほど多くの皆さんが、悩みを訴えるのではないでしょうか。
言葉とは「生き物」です。
生きた言葉を学ぶためには、生きた文法を身に付けなればならないのです。
では、生きた文法を身につけるためにはどうしたらいいのでしょうか?
唯一の解決策があります。
それは、文法の公式・構文を、「文章」の中で使って覚えることです。
具体的に言えば、文章の中で使って、その文章を覚えることなのです。
例を挙げてみましょう。
to不定詞の用法には、名詞的用法と形容詞的用法と副詞的用法がありますが
その副詞的用法のひとつに、「結果」を表す用い方があり
「・・してその結果~」という意味で使われます。
これは、受験生にとっては必修事項であると言っていいでしょう。
しかし、この説明では、何のことなのかよく分かりません。
公式自体が、チンプンカンプンなのではないでしょうか。
そんな回りくどいルールを理屈として覚えるより
He lived to be ninety.
≪彼は生きたその結果、90歳になった=彼は90歳まで生きた≫
または
He awoke to find himself in a strange room.
≪彼は目が覚めたら(その結果)見知らぬ部屋にいた≫
などという英文をひとつ覚えれば、それで用は足りるのです。
これらの英文の中には、「結果」を表すto不定詞の副詞的用法が含まれており
その英文をひとつ覚えることで
あのややこしい文法は、生きたルールとして脳に吸収されるのです。
「一つの文章を覚えただけで、どんな場合にも応用できるのか?」
などと心配する必要はありません。
同様の表現が出てきたときに
瞬時に「あの英文の用法と同じだな」と頭に思い浮かぶからです。
それが「文章を覚えること」のマジックでもあるのです。
これは、すべてのケースに拡大できる手法です。
生きた文法知識を身につけようと思ったら
その文法公式を含んだ英文を覚えることが、最も効果的なのです。
たとえば、関係代名詞には
who, whose, which, that などの基本的な用法のほかに
前置詞+関係代名詞、関係代名詞の省略、二重限定、制限用法と継続用法
さらには複合関係代名詞(what)や、様々な慣用句的表現・・・
などの、10個以上の複雑な用法があります。
しかし、これらの用法に関する、10ページもの説明を事細かに覚えるより
それぞれの用法の例として示されている、10個の例文を覚えればそれで用は足りるのです。
文法書10ページに含まれる10個の例文は
その文法書10ページの内容に相当するからです。
もちろん、文法の勉強が必要ない、と言っているのではありません。
基本的な文法の学習が、前提になければならないのは言うまでないことです。
しかし、それは具体的な表現として使って覚えなければ
「生きた文法」にはならないのです。
使っていれば、理論・理屈は後から必ず付いてきます。
パソコンやケータイ電話を例に考えればよく分かるはずです。
パソコンやケータイの仕組みと使い方は
使ったことのない人間には、複雑極まりないものです。
しかし、いったん分かってしまえば
「ああ、こんなカンタンなことか」と、納得してしまうのです。
では、あの複雑なパソコンの機能と仕組みを、どのようにして覚えたのでしょうか?
説明書には、事細かに使用方法について述べられていますが
その説明書をよく読んで使い方を覚えた
などという人間は、皆無に近いのではないでしょうか。
説明書を何回読んでも、分からないことはいつまでたっても分かりません。
そんなことをしているより、とりあえずいろいろ使ってみたほうが早いのです。
使ってみてはじめて「ああ、なるほど」と納得できるようになるからです。
それを繰り返すことで、しだいに全体の機能や仕組みは分かるようになるのです。
つまり、使っていれば理屈はいやでも分かるようになるのです。
英語の文法とケータイの使い方が同じだ
と言われてもピンと来ないかもしれませんが
要は「習うより慣れよ」です。
使い慣れることによって、はじめて「ルール」の何たるかを知ることができるのです。
そして、いったん「生きたルール」として吸収してしまえば
文法用語や理論そのものでさえ、必要がなくなってしまうのです。
「生きた文法理論」が、必要に応じて瞬時によみがえってくるからです。
文法とはそういうものなのです。
静岡県静岡市清水区高橋6丁目6-48 ガルバゼミ
★ ホームページ http://garba-zemi.jimdo.com/