2009年08月28日
文法とは何か? ~前半
◆◆「目からウロコの英語勉強法」◆◆
「英語の文法が難しい」という声を聞くことがあります。
日本語とは異質な、外国語の文法を学習するのですから
無理もないかもしれません。
しかし、ちょっと待ってください。
こと「文法」に関して言うならば
英語より日本語のほうがはるかに難しいことをご存知でしょうか。
われわれが日常生活の中で、当たり前のように使っている日本語とは
じつは、想像以上に複雑で難解な仕組みで成り立っているのです。
たとえば、「そんなの知らないよ」というカンタンな日本語を文法分解してみましょう。
『そんな』=〔形容動詞〕人や物事の程度や状態がそのようであるさま。そのような。
形容動詞には活用があるが、ここでは語幹がそのまま連体詞の働きをする。
『の』 =〔格助詞〕用言の連体形について「こと」「もの」の意味を表す。
格助詞・『の』の用法については、他にも十数種類があるが
この用法を特に準体助詞と呼ぶこともある。
『知ら』 =〔他動詞・五段・未然形〕情報や体験などによって、そのものの存在を認識する。
次に助動詞「ない」に接続するので、ここでは未然形をとる。
『ない』 =〔助動詞〕動詞・動詞型活用助動詞の未然形について、打消しの意味を表す。
助動詞には活用があるが、次に終助詞に接続するので、ここでは終止形
ちなみに、「ある・無い」のない(例・お金がない)は助動詞ではなく形容詞である。
『よ』 =〔終助詞〕呼びかけ・断定・軽い感動・疑問などを表す。尚、助詞には活用が+ない。
・・と、軽く国語辞典をめくっただけでも、これだけのことが載っています。
つまり、「そんなの知らないよ」という日本語は
〔形容動詞〕+〔格助詞〕+〔他動詞〕+〔打消しの助動詞〕+〔終助詞〕
というそれぞれの品詞が、必要に応じて活用をして、初めて成り立っているのです。
日本語とは、なんと複雑で難解なルールに支配されているのでしょうか。
ところで、皆さんはこれだけの複雑な文法事項を
どれほど知識として知っているでしょうか。
半分も知らない、または品詞名すら正確に知らない
という人々が多いのではないでしょうか。
にもかかわらず、この日本語を間違って使う日本人はまずいません。
つまり、この複雑なルールをすべて正確に守っているのです。
驚くべきことだと言わねばなりません。
ルールなどまったく知らないのに、そのルールを破ったことがないのです。
お気づきでしょうか。
皆さんは日本語の天才なのです。
英語といえど、所詮は同じ人間の話す言葉に過ぎません。
恐れることなど、何一つとしてないはずではないでしょうか。
さて・・・
では天才である皆さんは
日本語のルールをどのようにして学んだのでしょうか?
これだけ難解で複雑なルールを、完璧にマスターしているのです。
一体それを、いつ、どのようにして身につけたのでしょうか?
不思議なことに
この問いに明確に答えられる人々は、多くはありません。
「日本語の文法の学習」をした、という記憶を持っている方は
ほとんどいないのです。
たとえば、小学校でも中学校でも
国語の時間に、助動詞や助詞の知識を教えることは、まずありません。
助動詞には活用があって、接続する単語に応じて語尾が変化し・・・
などという基本的な文法知識を、知っている人すらそれほど多くはありません。
にもかかわらず、その助動詞・助詞を驚くほど正確に使いこなす・・・。
はたして、そのようなテクニックをどのようにして身につけたのでしょうか?
それは「口で覚えた」、または「使って覚えた」のではないでしょうか。
つまり、「いろいろ使ってみて」
「口が馴染むかどうか」という判断を繰り返すことで
理屈ではなく直感で覚えたのです。
たとえば「そんなの知らないよ」という日本語は正しいが
「そんなの知るないよ」という日本語は間違っています。
どこが間違っているか?
文法的な説明をすれば、こうなります。
「知る」という動詞に「ない」という否定の助動詞を接続させるときは
「知る」という五段活用の動詞を
未然形である「知ら」に活用させなければならないからだと・・
しかし、そんな回りくどい理解をする人はいません。
ただ単純に、「知るない、という言い方は口に馴染まないから間違っている」
と判断するのではないでしょうか。
そうした一つ一つの、無意識の判断を繰り返すことで
日本語という言葉の法則を、知らず知らずのうちに身につけ
気が付いてみたら、日本語の天才になっていた・・・
誰もが、そうした経過をたどってきたのです。
ずいぶん乱暴なやり方のように見えるかもしれませんが
じつは、アメリカ人が母国語である英語を学ぶ場合にも
これと大差はありません。
試しに、英語の文法問題をアメリカ人に質問してみれば、よく分かります。
あれほど流暢に英語をしゃべり
英語のことなら何でも知っているように見えても
意外なほど文法用語は知らないし、文法的な説明はしてくれません。
ただ口でモグモグなぞってみて
「これはおかしい」とか「これは正しい」と指摘するだけなのです。
つまり、本家本元の「ネイティブ」でさえ
正確な文法は「口」に頼っているのです。
なぜならば、正確な文法を「知識」として覚えたのではなく
「口」で、「使って」覚えたからなのです。
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